昨日の夜、回転椅子に後ろ向きに座って遊んでいた子供が、急に腕が痛いといって泣き出した。
尋常じゃない泣きかたで、
「バンザイしてみて」
という問いにも全く手を動かせない状態になった。
いろいろ調べたら、家から5キロほどのところにある病院で、夜間外来をやっていて整形外科の先生もいるということだったので、急遽行くことに。
腕がだらんとして全く動かせない状態だったので、運ぶのも苦労したが、何とか病院に到着。
が、夜間入り口にいるはずの警備のおじさんが見回り中で人もおらず、自動ドアも「手動で開けてください」となっている状態。
子供を抱っこしていて妻も駐車場に車を停めに行っていたので、何もすることができなかったが、しばらくしてナースが着てくれた。
妻と合流して、病院の長椅子に座っていたら、まもなく先生が登場。
先生は、いかにもめんどくさそうで、「何か楽しいことをしていたのに呼び出された」というのがうかがい知れるような感じ。
「くだらんことで、来やがって。だから最近の若い親は困る」なんて言われるかとひやひやしながら診察を受ける。
診察は30秒もなく、
「あー、ちゅーないしょーだなーこれわ。」
と言いながら、子供の腕を一瞬だけ握って、
「はい、これで治った。」
と言う。確かに、さっきまでだらんとしていた腕が動くようになったが、あまりにも雑な治療に見え、
「治す気あるの。」
というような感じだった。
そして、
ちゅーないしょーね。こんな字書くから。」
とカルテを見せてくれた。
カルテには、とても大人の字とは思えないようなまるでミミズが這ったような字が書いてあり、
「???」という顔をしていたら、
「これは肘って言う字で、これは内って言う字、そして障害の障ね」と教えてくれた。
「大人でもなるのですか?」と聞いてみたら、
「ならん」の一言。
あっけにとられていたら、
「明日痛かったら整形来て」
と言い残してあっという間に帰っていった。
「何だあの態度は」
と思ったが、帰りの車では子供もすっかり元に戻っていて、妻と、
「あれは神の手だ」とか「まるで1日に何百人も診る超多忙の凄腕名医のよう」
などと話しながら帰宅した。
家に帰ってネットで調べたら、子供にはよくある怪我ということが判明。
そして、我が家の中であれほどまでに悪印象だった医者もすっかり名医と評され、子供も、
「せんせーすごいね〜。」
と言うほどだった。
参考:肘内障とは
http://www.tahara-seikei.com/1017.htmより
肘内障は小児における肘の外傷(ケガ)の中で最も頻度の高い疾患の一つです。2〜6歳に多く、再発を繰り返しながら、いつのまにか加齢と共に発生しなくなります。原因は肘関節の亜脱臼です。急に手を引っ張られたり、腕を下にして転んだりした際に、橈骨頭が輪状靭帯を逸脱して(くぐり抜けて)発生します。
症状は激しい痛みです。痛みは突然起こり、泣け叫び、腕をだらりと下げ、腕を全く動かそうとはしません。しかし、肘内障は骨折と違って腫れを認めないのが特徴です。レントゲン検査では異常な所見を認めませんが、他の骨折(上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、橈骨頭脱臼など)との鑑別(見極め)のためにレントゲン検査は不可欠です。
治療は直ちに徒手整復術を行います。整復操作時に「コクッ」と言う音と共に整復されます。整復されると、急に泣きやみ、腕を動かします。整復の有無は上肢の挙上(万歳が出来るかどうか)で判断します。